Oligonucleotide Therapeutics Society (OTS)の17th annual meetingにて吉岡耕太郎先生がDr. Alan M. Gewirtz Memorial Scholarshipを受賞

同門会会員各位

嬉しいお知らせです。

2021年9月26日~29日に開催された、欧米の核酸医薬学会であるOligonucleotide Therapeutics Society (OTS)の17th annual meetingにて吉岡耕太郎先生がDr. Alan M. Gewirtz Memorial Scholarshipを受賞されました。おめでとうございます。

当教室におけるヘテロ2本鎖核酸の新規創薬研究において、Su Su Lei Monさん、Chunyan Jiaさん、勝山 真帆さんと髄腔内投与による中枢神経標的ヘテロ2本鎖核酸の技術研究を進めて、ヘテロ2本鎖核酸の優れた安全性を可能とする新規分子構造を明らかにしました。本技術の知財は現在進行している大手製薬会社にライセンシングされて、神経変性疾患の核酸医薬創薬に精力的に応用されています。さらなる技術の進展研究を進めます。

横田隆徳

血液脳関門通過を可能にしたヘテロ核酸医薬の開発

8月12日に、永田哲也先生をfirst authorとして血液脳関門(BBB)通過型ヘテロ核酸の論文がNature Biotechnologyにon line publicationされました。静脈や皮下投与などの全身投与でBBBを越え、脳・脊髄の標的遺伝子を90%抑制できるヘテロ核酸の基盤技術を開発した報告です。高分子のBBB通過技術は当科からの報告が含めていくつかありますが、その圧倒的な効果と従来の核酸がBBBを通過しない点から有望な技術として評価されたと思います。御存知の通り、既に成果が出ている核酸医薬品であるヌシネルセンは脊髄性筋萎縮症で有効性を示して、神経変性疾患のブレイクスルーになりました。しかしながら一生涯にわたる繰り返す腰椎穿刺投与が必要であり、問題点の1つでしたが、それを解決するものです。2020年現在、Nature Biotechnologyのインパクトファクターは54.9で、Nature、ScienceやNature Medicineより上位にランクされており、生命科学では世界でトップとなっております。本論文は武田薬品と米国のIonis Pharmaceuticalとの共同研究成果ですが、当医局で開発したヘテロ核酸の一連の研究成果であり、今まで当医局主体の論文として、IFが40以上の超一流雑誌へのアクセプトは初めてのことです。本件は大学のホームページからAMEDと共同でプレスリリースしまして(https://www.tmd.ac.jp/press-release/202100813_1/)。、朝日、読売、毎日、日経などの主要新聞各紙で報道されました。また海外のサイエンス系のホームページにも大きくその内容が掲載されております。今後も、我々のサイエンス、テクノロジーによって神経難病の患者さんに根本治療開発が達成できように引き続き努力を続けたいと思います。

横田隆徳

第16回ナノ医療イノベーションセンターcenter of open innovation network(COINS)全体会議で市野瀬慶子先生がBest Presentation Awardを受賞しました。

2021年6月14日に開催されたナノ医療イノベーションセンター center of open innovation network (COINS) 第16回全体会議で、大学院生の市野瀬慶子先生が、横田先生・石橋哲先生の指導のもと李富莹先生らと行った研究「Preferential delivery of lipid-ligand conjugated DNA/RNA heteroduplex oligonucleotide to ischemic brain in hyperacute stage」を発表し、Best Presentation Awardに選ばれ、COINS研究統括の片岡一則先生より賞が授与されました。

我々はこれまで脳梗塞急性期で脂質関連受容体が脳血管内皮細胞に強く発現することを見出しています。本研究では脂質ライガンドを結合させたヘテロ核酸を用いることで、脳梗塞モデルマウス超急性期において非常に高い効率で虚血部位選択的に薬剤送達を達成させることが明らかなりました。また虚血部位選択的な遺伝子制御の結果、脳梗塞領域の大きさや血管新生などのphenotypeも変化させることが確認されました。今後の臨床応用が期待されます。

第15回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで佐野達彦先生が最優秀演題発表賞(基礎部門)を受賞

7月1-3日に仙台で開催された第15回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで、大学院生の佐野達彦先生が永田哲也先生の指導の下で行った研究「アンチセンス核酸による異常αシヌクレインの伝播抑制」の発表が最優秀演題発表賞(基礎部門)に選ばれ、大会長の武田篤先生より表彰されました。(大阪大学の望月秀樹先生、東京都医学総合研究所の長谷川成人先生との共同研究です。)

本学では阿部圭輔先生、大久保卓哉先生から長年行ってきたシヌクレインのpropagationに関する研究において、永田先生、佐野先生はシヌクレインのpropagationモデル動物を用いて、アンチセンス核酸による異常シヌクレインのプリオン様伝播の抑制効果を検証しました。その有効性の高い投与タイミングや脳の部位効果について検討し、現在進行している核酸医薬によるαシヌクレイノパチーの治療において、この研究結果が今後生かされることが期待されます。

横田隆徳

第62回日本神経学会学術大会で三浦元輝先生が一般演題最優秀ポスター賞(基礎部門)を受賞

5月19日~22日に京都で開催された日本神経学会学術大会で、大学院生の三浦元輝先生が坂上史佳先生、石黒太郎先生の指導の下で行った研究「TDP-43-specific aptamer rescues ALS phenotype in TDP-43 transgenic mice」の発表が一般演題最優秀ポスター賞(基礎部門)に選ばれました。

本研究は水澤英洋先生、石川欽也先生、佐藤望先生らが、脊髄小脳失調症31型(SCA31)の原因として同定したTK2・BEAN1遺伝子の繰り返し配列を含むncRNAが、佐藤望先生によってTDP-43蛋白質と結合することが明らかにされ、石黒先生によってショウジョウバエで見られるTDP-43の凝集と毒性を軽減することが示されました。そこで核酸グループがTDP-43蛋白質と結合して凝集を抑制する新規のタンパク結合性核酸医薬(アプタマー)の配列と分子構造、化学修飾をデザインし、特許出願しました。

本研究ではTDP-43を過剰発現するALSモデルマウスにおいてこのアプタマー核酸を投与することで、症状の改善を認めました。当科の水澤先生の時代の成果が引き継がれて発展した研究結果であり、このアプタマー(ベイト)核酸のALSの根本治療としての発展をさせるべく研究を推進しております。

2020年WEB忘年会ご参加の御礼


12月8日(火)に、当医局・同門会としての初めてのWEB忘年会に100名以上の先生にご参加を頂いて下記のような内容で行いました。

リモートではありましたが、同門の皆様のお顔を拝見できて、スライドも目の前にあって見やすく、コロナ時代ならでは交流ができました。

WEB忘年会終了後は、各連携病院ごとの個別情報交換会を行い、2次会のように良き交流ができました。

ご多忙の中、多くの先生方にご参加をいただきまして、誠にありがとうございました。

ご挨拶: 横田隆徳先生

ご挨拶: 同門会長 織茂智之先生

ご挨拶: 水澤英洋先生

冨滿弘之先生 JAとりで総合医療センター 病院長就任のお祝い

お祝いの言葉:横田隆徳先生

お祝いの言葉:石川欽也先生

山脇正永先生 東京医科歯科大学大学院臨床医学教育開発学分野 主任教授就任のお祝い

お祝いの言葉:横田隆徳先生

お祝いの言葉:神田隆先生

受賞者の紹介

横手裕明先生:神経免疫学会 研究創世賞

吉岡耕太郎先生:医科同窓会 第33回研究奨励賞、日本核酸医薬学会 奨励賞

永田哲也先生:日本核酸医薬学会 学会特別賞

論文プレスリリース

横田隆徳先生:BBB通過性Aβ抗体でAlzheimer病モデルマウスの治療に成功

浅見裕太郎先生:CBIR最優秀ポスター発表賞

最近数年で新たに部長に就任された先生方

石原正一郎先生 JAとりで総合医療センター 脳神経内科部長

大久保卓哉先生 横浜市立みなと赤十字病院 脳神経内科部長

田中宏明先生  東京都立大塚病院 内科部長

斎藤和幸先生  日産厚生会玉川病院 脳神経内科部長

日詰正樹先生  埼玉県総合リハビリセンター 診療部長

袖山信幸先生  浴風会病院 診療部長

坂本昌己先生  浴風会病院 診療部長

新井雅信先生 杏雲堂病院 リハビリテーション科部長

2021年度より新たにローテションに加わる先生の紹介

坂巻愛弓先生 総合病院国保旭中央病院

吉濱れい先生  関東中央病院

榎本雅之先生  埼玉医科大学総合医療センター

清水沙織里先生 JR東京総合病院

宮澤由衣先生  東京医科歯科大学医学部附属病院/北信総合病院

松本仁圭先生  東京医科大学病院

連携病院の近況報告

閉会挨拶:融衆太先生

各関連病院ごとの情報交換会

DNA/DNA2本鎖核酸による効率的な遺伝子抑制を達成

核酸医薬のリーティングでヌシネルセンを開発した米国IONIS Pharmaceuticalsとの共同研究で、DNA/DNA2本鎖を基本とする新規分子構造がアンチセンス核酸の効果を高めることを浅見先生、永田先生、吉岡先生を筆頭著者としてDNA/DNA 2本鎖核酸創生の論文がMolecular Therapy (Impact factor 8.986)に2020年12月7日にオンライン版で発表され(PMID: 33290725, DOI: 10.1016/j.ymthe.2020.10.017)、12月8日に本学からプレスリリースされました (http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20201208-1.pdf)。

我々が開発したDNA/RNAヘテロ二本鎖核酸は従来のアンチセンス核酸と比較して優れた遺伝子抑制効果を発揮することを報告してきましたが、DNA/DNA2本鎖を基本とする構造でもアンチセンス核酸の効果を高めることを示しました。DNA/DNA2本鎖とDNA/RNA2本鎖は化学構造も生物学的機序も異なりますが、この発見によってヘテロ核酸の生物学的機序はより複雑になりますが、分子構造の自由度が飛躍的に高まり、疾患治療の目的にあった設計が可能になりました。我々が開発したヘテロ二本鎖核酸は2本鎖アンチセス核酸としてより広い概念としてその本質が見えてみえてきたように思います。

横田隆徳

2020年11月30日、12月1日に核酸医薬シンポジウム2020が開催されました。

2020年11月30日、12月1日に核酸医薬シンポジウム2020が、医科歯科大学主催で開催されました。この学会は当科で力を入れて研究を進めている核酸医薬の臨床応用を目指すための学会で、薬学、分子生物学、核酸化学、遺伝子工学の基礎研究室や製薬企業も多数参加しています。本来ならば毎年6-7月に年会を行っておりますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年に延期となったため、横田が理事長を務めている関係から当科主催でオンラインシンポジウムの形で開催いたしました。結果としては例年の倍に近い1500人以上の参加があり大盛況となりました。吉岡先生、浅見先生をはじめとして主催に尽力いただいた方々に感謝いたします。

なお、この中で、永田先生が「国内初のデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する核酸医薬品ビルトラルセンの開発」で日本核酸医薬学会 学会特別賞を受賞されました。また、吉岡先生が「新規2本鎖核酸による遺伝子制御効果・安全性の向上および生体内核酸分子機構の解明」で日本核酸医薬学会 奨励賞を受賞されました。この受賞の詳細は後日に報告します。

横田隆徳

山脇先生の教授就任の嬉しいお知らせ

医局・同門会会員各位

大変嬉しいお知らせがあります。

昭和63年に本学卒、神経内科同門の山脇正永先生が、12月1日付けで、田中雄二郎現学長の後任の大学院臨床医学教育開発学分野の教授に就任されました。同門からは石川欽也先生に続く、本学では3人目の主任教授であり、おめでとうございます。

山脇先生は卒後ただちに塚越教授の本学神経内科に入局されて、卒後4年目の大学院在籍中に米国バージニア州立大学留学され、本学の神経内科の講師から2011年から臨床教育研修センター准教授を経て京都府立医大総合医療・医学教育学で主任教授として活躍されておりました。研修医時代から何事にもスマートで、臨床、研究、教育のすべてに優れた実績を挙げて、さらに温厚なお人柄であって、また本学で一緒に働き、同門会でもご一緒できることになって、大変嬉しく思います。

医局同門として、山脇先生の主任教授ご就任を、皆でお祝いしたいと思います。

コロナ感染禍で祝賀会が開けず非常に残念ですが、12/8のZoom忘年会でご挨拶をいただく予定です。

2020年11月30日

横田隆徳

同門会の皆さまへ

この度、大学院臨床医学教育開発学分野の主任教授として、12月より本学に赴任することになりました。当教室は初代の田中雄二郎教授のもと、本学の卒前・卒後教育の教学マネジメントを行う部門として設立されました。大学の使命の1つである教育に大きく関わる部門であり、その職責は重大と考えている次第です。
近年の医学教育では、教育に対する考え方が変容しているように一見みえますが、私自身が本学神経内科学教室で塚越廣教授、水澤英洋教授、横田隆徳教授より薫陶を授かりました教育観は現在でも変わるものではないと思っています。さらに、これからの医学教育・医療教育は大学だけで完結するものでなく、協力病院や協力施設・研究所とともに実施すべきものであり、教育は、臨床・研究と同様に皆様をつなぐ要のひとつと考えております。
今後も、学生教育・卒後教育・生涯教育等で同門会の皆さまにお世話になることと存じますので、ご指導の程どうぞよろしくお願いいたします。


京都府立医科大学大学院教授 総合医療・医学教育学 山脇正永

横手裕明先生が令和2年度日本神経免疫学会研究創世賞優秀賞を受賞

新渡戸記念中野総合病院の主任医長の横手裕明先生が、「多発性硬化症(MS)における脳萎縮と腸管透過性の関連を探索する前向き研究」という研究課題を申請し、令和2年度日本神経免疫学会研究創世賞優秀賞を授与されました。同賞はコスミックコーポレーションの寄付により2014年に設置された賞で、歴代受賞者には中島一郎先生(現・東北医科薬科大学脳神経内科)など第一線でご活躍の先生方が名を連ねておられます。

横手先生が2008年に「腸内細菌」とMSとの関係を初めて報告して以降、「腸内細菌」のMSの発症や病型に関与する可能性が相次いで報告されております。現在の研究の焦点の1つは腸と脳をつなぐブリッジの解明です。そこで、本研究ではそのブリッジのひとつと考えられる「腸管透過性」と、MSバイオマーカーとして確立しつつある「脳萎縮」との関連を前向きに検討しています。今後、MSの病態における腸脳連関の役割の解明が加速されることが期待されます。

横田隆徳